ミス藝大2013でのババロアさんは現代アート

2013年9月8日(日)、東京芸術大学でのミス藝大を見に行った。

 
 
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 この『ミスコン』はモデル、音楽、舞台の3名が担当を受け持ってチームとなり、それぞれ出し物を演出する。そのミスコンは6チームが出場していた。芸大生であるがゆえに舞台で歌ったり、演奏したり、絵を描いたりとの一芸を持っていた。
 
私が見たかったのは『ババロア』さんという、ミスコンなのに明らかな男であり、ホームページで奇妙奇天烈な格好をされた方だ。そのチームの出番は4番目だった。
題名は『嫁入り』。
登場人物はセミ、白無垢、恐竜のお面を被ったダンサー2人。特徴的な舞台設備は女性器の形をした門。私が覚えている範囲であらすじを記すと、セミが雌を探してさまよい、寿命かなにかで命が尽きる。ダンサー2人が彼を担いで裏に隠れる。その門から白無垢を着た人(ババロアさん?)が登場し、お嫁に行きたいと歌う。門から再びセミが現れ二人は恋に落ちる。ダンサー2人も現れ彼らと共に歌い踊る。そこで突然、白無垢が刀を抜き彼らを次々と斬る。斬られた3人は回転しながら門の横から後ろへ隠れ、再び正面から登場する。だが同じ様に斬られ3回ほど繰り返す。再び歌い踊り終わり。
 
 個人的な感想として、良い意味で期待を裏切ってくれ、なかなかぶっ飛んでいた。こういう怪奇な、現代アートっぽいものって見方によって様々な解釈を付けられると思った。社会を風刺したり、批判したり、時事を示したり。
 
・このセミの鳴き声は「ミーン、ミーン」ではなく「メスー、メスー」と言い、恐竜ダンサーはセミを担ぐときに「輪廻転生、輪廻転生」と言っていた。一般的にセミ自体は夏しか生きられず雌を探すのに必死だ。毎年毎年生まれては死に、生まれては死ぬ。この舞台でもそれを表現しており、後半に女性器を模した門から出てくるセミとダンサーを白無垢姿が次々と斬り倒す。輪廻転生により3人は繰り返し生き返る。白無垢の角隠しは頭の鬼の角を隠す役目があると言われていることから、この白無垢姿はお嫁さんであり寿命の死神でもある。
 
・白無垢=会社、セミ=正社員雇用を希望する派遣労働者、恐竜のお面=派遣労働者。調整の為に次々と切られては採用され、切られては採用される。
 
・現代アートのルールを村上隆的に言うと「構図」「圧力」「個性」「コンテクスト」。「構図」は舞台配置、「圧力」は舞台演出の規模、「個性」はババロアさん。「コンテクスト」は西欧の現代美術「自画像」「エロス」「死」「フォーマリズム(形式重視)」「時事」の中から挙げると、「エロス」:女性器を模した門、「死」:刀で切られる、「時事」:セミ、夏、若者の未婚化、晩婚化を示している。
 
演出が終わってからのコメントでババロアさんからはなんの説明もされなかった。これが逆に私達、見る側の想像力をかき立てるものだった。